横浜市は丘陵地・傾斜地が多く、擁壁や崖地を抱える住宅・土地が数多く存在します。「擁壁にひび割れがある」「古い石積みの崖地で不安」といったお悩みは、放置すると大雨や地震の際に重大な事故につながりかねません。横浜市には、こうした崖地・擁壁の防災・減災対策工事を支援する助成金制度が2つあります。本記事では、それぞれの制度の違いから助成額の試算例、申請の流れ、危険な擁壁の見分け方まで、横浜市公式情報に基づいて詳しく解説します。
1. 横浜の崖地・擁壁で見られる危険なサイン
まずは、ご自宅や所有地の崖・擁壁に次のようなサインがないか確認しましょう。
- 横方向・斜め方向の長いひび割れ、複数箇所にわたる亀甲状のひび割れ
- 擁壁の表面が丸く膨らんでいる状態
- 擁壁全体、または部分的に前方へ傾いている
- 擁壁内部の水を逃がす穴が詰まっている、またはそもそも設置されていない
- これらは現在の安全基準に適合しない「既存不適格擁壁」である可能性が高い工法です
- 既存の擁壁の上にブロック等を追加で積み増したもので、法令上認められていません
これらに心当たりがある場合は、横浜市建築局企画部建築防災課(電話:045-671-2948)へご相談ください。ご自身でも、横浜市の「あなたの擁壁は安全ですか」チェックシートや、国土交通省の「我が家の擁壁チェックシート」で簡易的な確認ができます。ただし、擁壁や自然崖の危険性の詳細な判断には、地質調査と専門的な知識が必要です。
2. 横浜市「崖地防災対策工事助成金」制度を理解する
崖地防災対策工事助成金は、間知擁壁・RC擁壁等の築造替えが主な対象です。(令和8年4月施行の要綱に基づく)
- 市内の一連の崖等で地盤面からの高さが2mを超える、個人または営利を目的としない法人が所有する崖地
- 崖崩れにより居住の用に供する建築物等に被害が及ぶおそれがある崖地
- 間知擁壁、RC擁壁等の築造替え
(出典:横浜市「崖地【防災】対策工事助成金制度について」公式ページ)
3. 横浜市「崖地減災対策工事助成金」制度との違い
崖地減災対策工事助成金は、法面保護や既存擁壁の補強など、崖の高さや位置を変えない工事が対象です。防災対策工事助成金とは対象となる工事の種類が異なります。
- 地盤面からの高さが2mを超える崖地、または道路等に被害が及ぶ恐れがある崖地において、道路面から上方1m・下方2mを超える崖地
- 原則、建築基準法及び宅地造成及び特定盛土等規制法の手続きを要さない工事で、崖地の高さ及び位置が変わらない工事(法面保護、既存擁壁の補強等)
(出典:横浜市「崖地【減災】対策工事助成金制度について」公式ページ)
どちらの制度が適しているかは、工事の内容(築造替えか、補強・保護か)によって変わります。まずは建築防災課へご相談の上、判断されることをおすすめします。
4. 助成額の目安
両制度とも、以下の考え方で助成額が決まります(金額は年度により改定される場合があるため、必ず建築防災課で最新情報をご確認ください)。
- 工事費の3分の1、または単価による算出額のいずれか低い方、上限400万円
- 工事費の2分の1、または単価による算出額のいずれか低い方、上限100万円(工事内容により50万円の場合あり)
- 擁壁築造工事・待ち受け擁壁工事で1㎡あたり11万円程度(令和8年度)
試算例:崖地防災対策工事助成金を利用し、擁壁面積30㎡の築造替えを行う場合、単価による算出額は11万円×30㎡=330万円となり、上限400万円より低いため、330万円が対象経費として採用されます。その3分の1にあたる110万円が助成額の目安です。
5. 申請の流れと注意点
- 建築防災課がけ防災担当へ事前相談
崖地・擁壁の改善を検討し始めた段階で、まず横浜市建築防災課(045-671-2948)へご相談ください。助成金の内容や条件について説明を受けられます。 - 制度の確認・交付申請
崖地防災対策工事助成金・崖地減災対策工事助成金のいずれが適しているかを確認し、交付申請を行います。 - 交付決定
審査を経て、交付決定通知が届きます。 - 市内に本社のある事業者と工事契約
助成金の交付を受ける場合、市内に本社のある事業者との工事契約が必要です。 - 着工
交付決定前に工事契約または工事に着手している場合は、助成金制度を利用できません。必ず交付決定後に契約・着工してください。 - 完了報告
交付決定を受けた年度の2月末までに完了報告書を提出します。
特に注意したいポイント:助成金の交付申請には建築防災課がけ防災担当との事前調整が必須です。また、市内に本社のある業者との契約が条件となるため、施工会社選びの段階から助成金の活用を前提に相談することをおすすめします。
6. 横浜市の制度以外の選択肢
崖の状態によっては、横浜市の助成金制度以外の選択肢もあります。
- 「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されている場合、一定の基準を満たせば神奈川県が実施するこの事業の対象となることがあります。対策施設は神奈川県が工事を行い、所有・維持管理も県が行います。ご自宅が対象区域に含まれるかは、神奈川県土砂災害情報ポータルサイトで確認できます
- 横浜市では、建築や地盤の専門家による民間の相談窓口も案内しています。改善方法に迷う場合は、こうした窓口も活用できます
いずれの制度が適しているかは崖の状況によって異なるため、まずは横浜市建築防災課へご相談いただくのが確実です。
7. よくある質問
Q. 崖地の改善を検討しているのですが、助成制度はありませんか?
A. 一定の基準を満たした場合、崖地防災対策工事助成金制度(間知擁壁、RC擁壁等の築造替え)または崖地減災対策工事助成金制度(法面保護、既存擁壁の補強等)のいずれかを活用した改善が可能です。建築防災課にご相談ください。
Q. 大谷石やガンタ石積、玉石等の擁壁は危険ですか?
A. これらの工法は現在の基準に適合しません。大雨や地震等により崩壊する危険性があるため、建替え時等に合わせた築造替えが望ましいです。作業スペース不足や費用の問題で築造替えが難しい場合は、補強等による改善も考えられます。
Q. 増し積み擁壁は危険ですか?
A. 増し積み擁壁は法令上認められていません。大雨や地震により崩壊する事例が多く、危険性が高いため早期の改善が必要です。築造替えが望ましいですが、困難な場合は増し積み部分を撤去し法面に戻す方法も考えられます。
Q. 自宅が土砂災害警戒区域に指定されている場合、規制はありますか?
A. 土砂災害警戒区域そのものには規制はなく、市による警戒避難体制の整備等が行われます。ただし「土砂災害特別警戒区域」に指定されている場合は、特定開発行為に対する許可制度や建築物の構造規制等が定められています。ご自宅の区域は神奈川県土砂災害情報ポータルサイトで確認できます。
Q. 助成金を使わずに自分で業者を選んで工事してもよいですか?
A. 助成金制度を利用しない場合は自由に業者を選べますが、制度を活用する場合は市内に本社のある事業者との契約が条件となります。助成金の活用を検討している場合は、契約前に必ず建築防災課へご相談ください。
8. 信頼できる施工会社の選び方
崖地・擁壁工事は、通常の建築工事以上に地盤や構造の専門知識が求められます。施工会社を選ぶ際は、次の点を確認しましょう。
- 横浜特有の地盤事情に精通しているか
- 崖地防災・減災対策工事助成金の申請に詳しく、市内本社事業者の要件を満たしているか
- 擁壁の状態を正確に診断し、適切な工法を提案できるか
まとめ:横浜の崖地・擁壁対策は早めの相談がカギ
横浜市の崖地防災・減災対策工事助成金は、崖地・擁壁の改善費用の負担を大きく軽減できる制度です。ただし、交付決定前の契約・着工はできないこと、市内に本社のある事業者との契約が必要なことなど、独自のルールがあります。
- 崖・擁壁に危険なサインがないか確認する
ひび割れ、はらみ、傾き、水抜き穴の詰まりなどをチェックしましょう。 - 崖地防災対策工事助成金・崖地減災対策工事助成金のどちらが適しているか確認する
築造替えか、補強・保護かによって適した制度が異なります。 - 建築防災課がけ防災担当へ早めに事前相談する
交付決定前の契約・着工はできないため、着工前の相談が必須です。 - 市内に本社のある事業者に施工を依頼する
助成金の交付要件として定められています。 - 助成金申請の実績がある施工会社に相談する
スムーズな申請・工事のために、経験豊富なパートナーを選びましょう。
北沢建設では、横浜の崖地・擁壁工事に関するご相談を承っております。助成金活用のご相談も含めて、お気軽にお問い合わせください。
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