2026年8月13日、千葉県では千葉市で1時間に100mmを超える猛烈な雨が降り、広い範囲で浸水の被害が出ました。民間気象会社の調査では、被害の報告の半数以上が、浸水想定区域の外から寄せられています。「想定区域の外だから安心」とは言えない雨が、実際に降るようになっています。
横浜市は坂と高低差の多いまちで、擁壁やがけに接した住宅が数多くあります。大雨や長雨のときに心配なのは、浸水だけではありません。この記事では、雨と擁壁・がけの関係、雨の前に確認しておきたい点、雨の後に出る異変のサイン、相談先を、横浜市の公開資料をもとに解説します。
アイキャッチ画像:住宅のすぐ横に迫る崖地(北沢建設の施工事例・磯子区I様邸の施工前)
1. なぜ大雨・長雨で擁壁やがけは崩れやすくなるのか
擁壁は、背後の土が崩れないように支える構造物です。横浜市の資料「擁壁のはなし」は、大雨のときには地盤が水分を多く含むことでがけ崩れが起こりやすくなり、擁壁にかかる土の圧力も増すため、崩壊の危険が高まると説明しています。
ポイントはです。擁壁の背後にたまった水は、水抜き穴や排水溝を通って外へ出ます。水抜き穴がない、詰まっている、排水溝が壊れているといった状態では、水が抜けずに擁壁へ無理な負担がかかります。
短時間の豪雨だけでなく、長雨にも注意が必要です。雨が何日も続くと、地盤が水を含んだままの状態が長くなるためです。
2. 横浜市は18区すべてに土砂災害警戒区域がある
横浜市内では、土砂災害警戒区域が2,374区域、そのうち特別警戒区域が2,057区域指定されています(令和8年2月17日現在、横浜市公表)。18区すべてに指定があり、最も多いのは戸塚区の275区域です。
ご自宅や検討中の土地が区域に入っているかは、「神奈川県土砂災害情報ポータル」や、各区の土砂災害ハザードマップで確認できます。
ただし、区域の外であれば安全、という意味ではありません。区域に入っていない古い擁壁でも、状態によっては危険な場合があります。区域の確認とあわせて、擁壁そのものの状態を見ることが大切です。
3. 雨の前に確認したい4つのポイント
横浜市は、石積み・ブロック積み擁壁の状態を自分で確認できるチェックシートを公開しています。そこで挙げられている項目をもとに、雨の前に見ておきたい点をまとめます。
水抜き穴があるか、詰まっていないか
擁壁の表面に、水を抜くための穴があるかを確認します。穴があっても、土や草、ごみで詰まっていると役目を果たせません。
排水溝や排水施設が壊れていないか
擁壁の上や下にある排水溝に、落ち葉や土がたまっていないか、割れていないかを確認します。台風や大雨の予報が出たら、まず掃除しておきたい場所です。
幅5mm以上のひび割れがないか
チェックシートでは、幅5mm以上のひび割れを確認の目安にしています。石と石の間のひび割れよりも、石そのものや擁壁全体にわたるひび割れのほうが、危険度は高く評価されます。
ふくらみ・ずれ・石の抜け落ちがないか
擁壁の中ほどが外側へふくらんでいないか、石がずれたり抜け落ちたりしていないかを、少し離れた位置から見て確認します。
チェックシートでは、擁壁の種類とこれらの項目を点数化し、「ほぼ安定」「やや不安定」「危険性が高い」の3段階で目安を判定できます。あくまで目安ですので、気になる点があれば専門家に相談してください。
➡ 大谷石・ガンタ石積み・玉石積みの擁壁は危険?見分け方と対策
4. 雨の最中・雨の後に出る異変のサイン
横浜市は、がけ崩れの前ぶれとして次のような現象を挙げています。
- がけから小石がパラパラと落ちてくる
- 斜面から新しく水が湧き出す
- 湧き水がにごる
- 斜面に亀裂が入る
こうした現象に気づいたら、がけや擁壁に近づかず、がけから離れた部屋や安全な場所へ移動してください。前ぶれがないまま崩れることもあるため、市は、危険を感じたら避難指示を待たずに自主的に避難するよう呼びかけています。
点検は、雨が上がり、安全が確認できてから行いましょう。雨の後に見ておきたいのは、次の点です。
- 水抜き穴から、にごった水や土が出続けていないか
- 以前はなかったひび割れやふくらみが出ていないか
- 擁壁の上の地面に、亀裂や沈みが出ていないか
雨の前の状態を写真に撮っておくと、雨の後に変化を比べやすくなります。
5. 擁壁の管理は土地の所有者の責任
横浜市の資料は、土地の所有者には、擁壁の崩壊やがけ崩れが起きないよう、安全な状態に維持管理する責任があると説明しています。がけ崩れが起きた場合、所有者として管理責任を問われることがあり、復旧の工事には多額の費用がかかります。
「崩れてから直す」よりも、「崩れる前に点検し、必要な手当てをする」ほうが、安全面でも費用面でも負担は小さくなります。
6. 気になるサインがあったときの相談先と助成金
横浜市の相談窓口
対策工事の助成金については、横浜市建築局 建築防災課(電話 045-671-2948)が窓口です。市は、地盤や建築の専門家に相談できる「崖に関する専門家相談窓口」も案内しています。
対策工事の助成金
横浜市には、崖地の防災対策工事・減災対策工事に対する助成金制度があります。対象となる崖の条件や金額、手続きの流れは、次の記事で詳しく解説しています。
北沢建設へのご相談
北沢建設は、横浜市内で崖地・擁壁の工事を手がけています。現地を拝見したうえで、点検の結果に応じた対策と、助成金の活用についてご案内します。
よくある質問
Q. 大雨のとき、擁壁はなぜ崩れやすくなるのですか?
A. 地盤が水分を多く含むことでがけ崩れが起こりやすくなり、擁壁にかかる土の圧力も増すためです。水抜き穴や排水溝が詰まっていたり壊れていたりすると、水が抜けずに擁壁へ無理な負担がかかります。
Q. 雨の前に、擁壁のどこを確認すればよいですか?
A. 水抜き穴があるか・詰まっていないか、排水溝が壊れていないか、幅5mm以上のひび割れがないか、ふくらみや石のずれ・抜け落ちがないか、の4点です。横浜市が公開している擁壁のチェックシートで、目安を確認できます。
Q. がけ崩れの前ぶれには、どのようなものがありますか?
A. 横浜市は、がけから小石が落ちてくる、斜面から新しく水が湧き出す、湧き水がにごる、斜面に亀裂が入る、といった現象を挙げています。前ぶれがないまま崩れることもあるため、危険を感じたら早めに避難してください。
Q. 土砂災害警戒区域の外であれば、擁壁は安全ですか?
A. 区域の外であれば安全、という意味ではありません。区域に入っていない古い擁壁でも、状態によっては危険な場合があります。区域の確認とあわせて、擁壁そのものの状態を確認することが大切です。
Q. 擁壁に気になるサインがあったら、どこに相談すればよいですか?
A. 対策工事の助成金については、横浜市建築局 建築防災課が窓口です。北沢建設でも、現地を拝見したうえで、点検の結果に応じた対策と助成金の活用についてご案内しています。
まとめ:雨の季節の前に、擁壁の「水の逃げ道」を確認しましょう
大雨や長雨のとき、擁壁やがけは水を含んで崩れやすくなります。雨の前には、水抜き穴・排水溝・ひび割れ・ふくらみの4点を確認し、雨の後には、以前との変化がないかを見てください。異変のサインに気づいたら、まず身の安全を優先し、そのうえで早めに専門家へ相談することをおすすめします。
擁壁やがけのことで気になる点がありましたら、北沢建設へお気軽にご相談ください。
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